Serge de Nimes =うきうきコラム=

汗とインディゴ


 汗をかくことの多い夏です.ジーンズはいてもすぐ汗かいて洗いたくなっちゃいます.でもはくたびに洗っていてはこれまでの努力が水の泡.日本的美学を貫いたジーンズはわたしの望むところですから,あまり洗いたくないです.だからむしろ「洗いたくなる夏にははかない!」というのが私の方針です.だから夏にはちゃらちゃらワンピースなんか着てるんです.

 でもいまから5年まえわたしがダルチザンDO-1を買ったとき,(もう5年前か?5年も同じことをしてるのか?)「夏にはき始めるといいっすよ」って店員さんに言われたの.つまり汗がインディゴの付着を促進していい色落ちにつながると言うのよ.でも考えてみるとあんまり付着すると,色落ちの差が出ないよね.ましてやダルチザンは天然藍だからもうおちないおちない.「冬から穿き始めるのと夏から穿き始めるのではぜんぜん違う」と前出の店員さんは言ったけど,あれは天然藍だけなのか?.

 あ,話はそれますがいい色落ちを望むなら,天然藍は残念ながら向きません.天然藍は糸の中まで染み込んじゃう染め方なので,紺色と白のコントラストをたのしむことができないんです.合成インディゴで表面を限りなく薄くインディゴを付着させるのが,もっともいい色落ちを呼ぶ方法です.

 ただなぜかジーンズが好きな人は「天然藍」という言葉にすごく弱いんですよね.たぶん「穿き込む」とかいうジーンズの精神性,つまり年月を経てさらによくなるものへのこだわりが「天然藍」と何か通ずるものがあるんでしょう.

 雨上がりのアスファルトも独特のにおいがしますが,汗をかいたジーンズは鉄棒をしたあとの手のにおいに似てる.あのにおいをかぐと頭の中がさーーっと小学校の校庭にフラッシュバックしちゃうのよね.

LastUpDated 99/08/13 00:00


<<もどる MAIN MENU すすむ>>